労働者のためは良い改革に見えるが、実は・・・
副業解禁 時間外労働の上限規制 年次有給休暇取得義務化
以前は、副業禁止、長時間残業の強要、有給休暇が取れない会社内の環境。
過去はこういったのが常識だった社会人の労働環境からすれば、これを聞けば、かなり労働者にとって聞こえ良い改革に見えます。
ところが残業上限を決められてしまうと現場仕事に従事する会社員は元々の基本給が低い事が多く、残業代で給料を稼がなくては生活が厳しい会社員が多い。
かく言う私も、正社員ではあるものの日給月給の工場現場の労働者の条件で採用されている。工場は24時間稼働なため、12時間労働の2勤交代制。通勤時間も入れて1日24時間で13時間も会社に時間を捧げている訳である。半月に一度2週間夜勤に入れるので夜勤手当が付くのだが、それでも給料は30万を超える事は少ない。その状態で閑散期には残業が出来ない月は20万以下の月給になってしまう。おおかた現場労働者は残業で生計を賄っている人が多いのではないでしょうか?
働きたいにも関わらず、返って働き方改革の規定のため、残業代を稼ぐ事が出来ず、希望している給料を手にする事が出来ない状況も実際にあると思います。
働き方改革以前は、会社への奉公精神は常識として長時間労働を強要してきた。労働者もそれが普通だと思っていました。ちょっと体調がすぐれないで会社を休むなどすれば、非常識な社員として扱われ給与査定にも影響していた時代であったわけです。
●敗戦国から経済復興するためには労働者をまとめる必要があった。
それは、日本が昭和の時代に太平洋戦争で敗戦国になった時点から高度経済成長期の間、ボロボロになった日本を復活するには、インフラの再構築が不可欠であった。そのためには、個人個人で働くより、集団でまとまった会社組織の方が効率良いと考えられる。
働く側も、1人で歩き回って仕事を取ってくるよりも、仕事がまとまっている企業で働いた方が手っ取り早いし、現在とは違い、安定した仕事が入ってくるわけだから、仕事に集中すれば良いだけであった。社会保険も企業と折半し、給料より天引きとなり年末調整だけで納税をすませば良いだけ、後は会社総務で対応してくれる。賦課方式とは言え老後の年金生活も一応は仕組みとして用意されている。しかもやればやるほど収入も上がる時代だったのだから、進んで会社へ奉公するのは、ごく自然な事なわけです。
これが、愛社精神の基盤になったと私は考えています。この時代はこれで良かったと思います。もし、私もこの時代の社会人なら、そうしているでしょう。
経済成熟からバブル崩壊
しかし、年月が過ぎ高度経済も過渡期になり、インフラも十分に充実し、バブル経済も崩壊した。
仕事量も減り始め、収入も減少するのだが、愛社精神の減少はしなかった。労働者はその精神が身に染み付いてしまっていたため、頑張って奉公すれば、会社は認めてくれるだろうと思ってしまっているわけです。確かに頑張れば認めくれるだろう。しかし、会社自身の売り上げは減っているのであれば、給料は上がらない。会社の貯蓄を削ってまで、社員に還元する時もあろうが、そればっかりでは、会社自体が倒産してしまい、全従業員が路頭に迷ってしまうので、社員に還元も出来ない。しかし、給料が下がると、社員のポテンシャルが上がらない。だから、愛社精神を振りかざす方法が社員を操る上で都合がよかったのではないかと推測します。私が、仮にその当時の経営者であれば、確実にそうします。
そのような歴史があるので、会社に奉公していた会社員は、なかなか、副業を行ったりフリーランスになったりするのは難しいです。
不足していく仕事量と余る労働力
仕事量が減少している状況の上、テクノロジーの進化に伴いとオートメーション化が進む。そのため、労働者を必要としていた業務が機械に任せる事により、余計に労働力が余ってきた。日本の人口減少傾向はあるものの、しかし、労働者の労働人生はまだまだ続く。
行き過ぎた愛社精神の強要
高度経済成長期で労働者も納得の上で行えた愛社精神や企業奉公。それにより労働者は満足いく報酬を得て、家族と安心した生活を送れる。労働者には理想の社会だった。
しかし、成長期のようにやればやるほど収入を得る事が出来る時代ではなくなった。限られてきた仕事のパイを取り合う中では、企業側とすれば、少ない賃金でたくさん働いてくれる労働力が魅力的である。
そのため、月に100時間以上の残業労働、有給休暇取得の拒否や退職届けの受け取り拒否が横行し、それにより労働者のうつ病発症の精神的弊害、上司によるパワーハラスメント行為やそれらによる労働者の過労死が話題となる。
それらの問題を解決する方法
そこで減少する仕事量、余る労働力、愛社精神の強要の故のパワハラや過労死問題を解決するのに、働き方改革は労働者に良い改革の反面、企業にとっても重荷な労働者を手放すのに良い改革でもある。
労働者を社畜と揶揄することがあるが、それを引用すると、農家が家畜を使って長年農場を経営してきた。牛や馬に畑を耕すため鞭を振りかざし、働かせてきた。しかし経営が厳しくなってきたため、家畜に小屋の扉と解放するから、自然に帰り自分らで勝手に生きてこい。
早い話し、働き方改革はこのような意味合いもあると私は考えています。
経済連とトヨタ自動車のトップによる「終身雇用制度の限界」の声明はそれを示しています。自分の食いぶちは自分で稼げという事なのです。
労働者は働き方改革を大いに利用しよう
労働者は働き方改革で気楽な考え方をせず、ならばいっそうの事、進んで自分で稼ぐ個人事業主としてシフトするべきです。いきなりフリーランスにはならず、副業OKな会社員なら、どんどん副業を行いましょう。ネット環境も整っているので、どんな副業があるのか?税金対策の方法はどうするのか?簡単調べられる時代です。それらを駆使し、家族の生活や自身の将来・老後のために稼ぐ事をお勧めします。
[…] 働き方改革は誰の味方か?→こちら […]